スポーツ実況と独占放送

たいそうなタイトルをつけてしまったが、スポーツの実況や、ビッグイベントの独占中継について考えたことを書いてみる。
今回のコナミカップアジア選手権は一局独占ではなかったようだが、世界陸上世界水泳、サッカーの日本代表戦などは地上波では一局の放送局が独占中継をしている。
これはあんまり好ましくない。
確かに一局でやればチャンネルを探す必要はないけれど、実況に偏りが出てしまうのではないか。
放映権料などといった制約もあるのだろうが、できれば各局が平等に分担して中継を行ったほうがいい。
さらにできるならば、実況の仕方など中継に関することを視聴者アンケートとして実施し、後の放送に役立てるのはどうだろう。
もちろん、各局それぞれの色があるし、視聴者も好みがあることなので、それによって優れた放送局やアナウンサーが決まるというわけではない。
だが、視聴者の好みの傾向を知ることができるのはいいのではないか。
ただがなりたてればいいと勘違いしているアナウンサーや、応援団気取りで解説をしない解説者などが公になるのはいいのではないかと思う。
ちなみに、野球中継は日本テレビ*1、サッカー中継はNHKがいいと思っている。


解説者によっても中継の面白さが違ってくる。
たとえばマラソン宗茂増田明美の解説はすばらしい。
ときおり選手の素顔も交えながら、きちんと専門的なことをわかりやすく伝えてくれる。
W大からS食品に進んだあの大選手の解説だと、まったく面白くない中継になる。
サッカーも日本代表戦になると
「いいですよ」
「危ないですよ」
「チャンスですよ」
以外の言葉が記憶に残らない解説がやたら増えるのはなぜだろう。
そんなときこそ冷静に、的確な言葉を使って視聴者に伝えるべきだと思うのだが。


解説の醍醐味といえば、オリンピックでしか中継されないマイナースポーツだ。
その競技では第一人者であってもテレビ慣れしていない解説者はどっちに転ぶかわからない面白さがある。
金メダルを獲得したときに涙で無言になるのはなかなか胸を打たれる。
4年間このために練習してきた選手を知っているからこそ、その努力の報われたときを自らも同じ舞台で感じていることに喜びを隠しきれない。
それをフォローするアナウンサーの力量が問われる場面だ。
上に書いたことと矛盾するが、オリンピックならではである。


今も忘れられない迷解説は、長野オリンピック女子モーグル決勝の里谷多英のときだ。
エアーが決まって、タイムもいい。
これは上位が望めると思った解説者が思わず発した
多英ヤベェよ」
には正直耳を疑った。
日本のスポーツ中継で「ヤベェ」という言葉が出たのはこのときが初めてだったろう。


好き勝手書いてきたが一番いいたいことは、スポーツの主役は選手だということだ。
選手の活躍をかすませるような実況、解説は中継にとって邪魔なだけだということを、アナウンサーと解説者は肝に銘じるべきだろう。




実況コンペティション、やってみたら面白いと思うけどな。

*1:いちいち大袈裟だったり、特定球団に偏っていたり、関係ない場面で余計なことばかりしゃべっているけれどそれでも他局より頭ひとつ抜け出ている。