池田聡さんのこと

高校三年生の夏休みも終わり、陽気はすっかり涼しくなってきたころ、部活もとうに引退してゆったりとした時間を持て余していた。
受験勉強をすればいいに決まっているのだが、まだそんな実感がわかなかったこともあって、教科書を開きつつもラジオに耳を傾けてる日を送っていた。


そんなある日、友人がCDを買ったという。
「JOY AND PAIN」
それが、池田聡さんとの出会いだった。


なんとなく興味を持った私は、そいつが買ったばかりのCDを無理を言って借りた。
借りたはいいが、当時の我が家にはCDを再生する機械がなかった。
ひどいことに、また別の友人にカセットテープにダビングしてくれるように頼んだ。*1
無茶な要求に快く(ではないが)応じてくれた友人たちにいまさらながら感謝。


数日後、ダビングしてもらったカセットテープを受け取り、デッキにセット。
1曲目の「螺旋パズル」のイントロが流れた瞬間、衝撃を受けた。
そもそもそれまでの音楽体験が、アイドル、フォーク、歌謡曲
新たなジャンルに耳が追い付かない。
「Night」「レクイエム」で締めるA面、絶妙な配分は録音時間の妙か。
B面もしっとりから軽やかに。
(jazz version)って違うアレンジがあるの?
たどり着いてしまった「オルフェの後身」
こういう曲大好きだ。


こうして、初めて受け身ではなく好きな歌手と出会った。


その後の話も少し。


一浪後某大に合格。
入学式前にと散髪をした帰り道、レンタルレコード店の閉店セールに出くわした。
シングルは100円、LPは300円〜の値札。
「わ」の棚から「Heart to Heart」を見つけ有頂天になったが、さらに「い」の棚も探すことに。
そこで見つけたのが、シングル「Before」とLP「JE REVIENS」
あとになって知ったが、「JE REVIENS」にはCDとカセットテープにはボーナストラックがあった。
カセットテープとCDは後で買うことになる。


このレンタルレコード店のあった場所、今回のライブ会場のすぐ隣だというのも面白い偶然か。

*1:のちの話だが、ちゃんと新品で買いなおした