やさしい旋律

やさしい旋律 [DVD]

やさしい旋律 [DVD]

同名の携帯小説の映画化作品。

美月茉莉亜(柳沢なな)は銀行で働くOL。ある日、仕事が終わって帰宅すると、アパートのごみ置き場にピアノのようなエレクトーンのような楽器が捨てられているのを見つける。何かに惹きつけられるように、その不思議な楽器を部屋に持ち帰って鍵を開けると、そこには“ダルシトーン”と記されていた。ダルシトーンとの出会いから、茉莉亜の運命は導かれるように動き出していく。弟・七海(佐藤考哲)と同じ不思議な夢を見たり、同じ会社の先輩、榊賢斗(松田悟志)に告白されたり、“運命の人”と信じていた元恋人の蒼井冬馬(篠田光亮)と再会したり……。亡くなった母は、最期に“茉莉亜にも必ず運命の人と出会うことができる”という言葉を残していた。大切な人を失い、心に深い傷を負っている茉莉亜にとって“運命の人”とは……。


若林志穂さんは茉莉亜の母役として、回想シーンに登場する。
また、茉莉亜の夢に現れる母子の母の声で、この物語のキーになる会話をする。


母親にとって茉莉亜の父となる男性は「運命の人」だったのかもしれないが、その言葉に翻弄される茉莉亜はさながら悲劇のヒロイン。
見ている立場としては、幸せになれる相手はどう考えても一人しかいないだろうと思うのだが、臆病になったせいで気づかないふりをしているのか、とにかくもどかしい。
その割に最後の展開が一気に進むので、違和感がのこる。
夢のメッセージのおかげで、この劇的な幕切れにも何とか納得はできるのだが、茉莉亜を翻弄するのも最後に背中を押すのも若林志穂さんというわけで、メインストーリーにはかかわらないものの、とても重要なポジションをしめている。
つまり、すべては若林志穂さんの掌の上で行われていたにすぎないのだな。
クレジットは友情出演だけど、実は主役だったんじゃないか。
このブログ的にはこの解釈でOKだな。


余談1。
鳥居みゆきの存在感がすごい。
友情出演だが、友情はないと言い切る姿勢もすばらしい。


余談2。
塚本高史の使い方が贅沢。
あそこで登場なら、もう運命の人でいいよね。
唐突な出会いがそれっぽいと思ったのだが、さすがに伏線も何もなくではお話にならないか。


余談3。
むしろ本題かも。
茉莉亜が父親の写真を見せてもらう場面で、「寿」とかかれた写真が目に付く。
もちろん結婚写真なのだが、それを見た茉莉亜の表情がアップになる。
だがちょっと待って欲しい。
当然花嫁は若林志穂さんなので、もっと大きく映したものが見たかったのだが、非常に残念だ。
紫のドレス、似合っているはず。


余談4。
母親の七回忌のあと、茉莉亜は自室に位牌と遺影を持ち帰るのだが、この笑顔がまたすばらしい。
その写真ください。


余談5。
本当に余談か?
なくなる前に母は茉莉亜に手紙を書くのだが、結構きれいな字。
書いているシーンもあるけれど、本当に志穂さんの字なのかしら。